平良さん夫婦
高良町長
 園主「ウト」について謹んでご報告します

 園主、母「饒平名(よへな)ウト」は去る4月11日午後9時55分をもって永眠いたしました。享年102歳(満100歳)。去年から肺炎にかかるなど体調を崩し入院していましたが、元気を取り戻して帰宅し、デイサービスにも通えるようになっていました。ところが、今年の1月末に出かける準備中に玄関に転倒し骨折をして、再び入院生活に戻ってしまいました。ここでも、驚異の回復(医療スタッフ)を発揮して、平行棒を使っての歩行訓練もできるようになっていました。母も「今日は5回も往復したよ」と自慢げに話し、「もう少し頑張れば家に帰れるね」と会話を交わすまでになっていました。従って、家族としても、あとしばらくは頑張ってくれるもの、と期待をしていました。ところが3月の末ごろから再び体調を崩し、一進一退を繰り返すようになっていました。亡くなる前々日は、ベッドでゼロ歳のひ孫を抱いて嬉しそうに写真に収まり、前日には新1年生のひ孫がランドセル姿を見せに、さらに気がかりだった孫娘は、入籍の報告に夫婦で訪れてくれました。か細い声ながらとても喜んで「おめでとう」と繰り返したとのこと。
当日も、娘の来院にほっとした穏やかな表情を見せ、続いて訪れた孫家族の激励に喜びの表情で応えていたようです。
 さらに、付け加えますと、母は最後までおむつに用便をすることはしませんでした。介助でトイレに行くかポータブルの利用にこだわっていました。力尽きるまで母なりの尊厳を守りたかったのかと思えてなりません。
 そんな母でしたがその数時間後、ついに力尽き、北部医師会病院のスタッフや家族に見守られ眠るように静かに息をひきとり帰らぬ人となってしまいました。
 実に多くの皆さんに親しまれ、愛され、そして支えられた100年の生涯。大往生で締めくくってくれました。豊かでほんとに幸せな人生だったと思います。私ほど幸せな人はいない、と母自身が繰り返してもいました。
 生前お世話になったすべての皆さん、また、母のことを詳しく報じてくださったメディア各社に対し、この場をお借りして心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 母が残してくれました「よへなあじさい園」は、沖縄の観光資源にもなっており、私ども子ども達が引き継いでいく所存です。何かと至らないところがあるかと思いますが、母同様お力添えのほどよろしくお願い申しあげます。


 追伸
 母ウトの告別式に際しましては、お忙しい中、予想だにしない多くの皆様方にご参列のうえ、見送っていただきました。改めて心から感謝を申し上げます。 
 ところで、伊豆味区では生活改善運動の一環としての申し合わせ事項があり、香典返しなどは基本的に省く取り決めになっております。私どもも、この取り決めを尊重して対応させていただくことにしました。
 皆様方からお寄せいただきましたお志につきましては、後日福祉団体等に寄付をさせていただくことで感謝の気持ちに代えさせていただきたいと考えております。なにとぞご理解のほどよろしくお願いいたします。


           2018年4月23日
           饒平名ウト家族一同



 以下は昨年(2017年)開園前の記事
  よへなあじさい園の園長である母ウトがおかげさまで今年満100歳を迎えます。
 今年は、少し残念な報告をしなければなりません。今年の初め頃までは、去年の記事(下記)のとおりの元気な母でした。ところが、1月下旬から2月の初旬にかけ、胃腸炎を患い、ほとんど出歩けず、家の中で過ごしていました。その間約2週間程度ですが、急激に足腰が弱くなってしまいました。調子の良い時は、自らベッドや椅子から立ち上がり、杖または歩行補助器を使って室内はもとより、リハビリ目的に住宅向いの喫茶店まで移動しています。しかし、調子の悪い時は、椅子、ベッドから立ち上がるのに介助を必要とするなど、去年までの母ウトの元気さはありません。ただ、本人は「うぬ ひさぬ やまんでー ぬーん ないしが・・・」(この足の痛みさえ無ければ、未だなんでもこなせるのだが・・・」と悔しがっている状況で、何とか早く元気を取り戻したいと頑張っています。オープンまでに、健康を取り戻すよう願っていますが、これまでのように、来園者の皆さんと気軽に写真を撮ったり、握手をしたり、会話を楽しむのは厳しいかもしれません。体重も落ち、気力も落ち気味ですが、頭、口の方は問題なく、チェックマンぶりは健在です。
 従いまして、皆さんには事情をご理解いただきご協力くださいますようお願いいたします。
        
今年は早くもマスコミの取材が始まっています。
 1 タイムス 5月2日(火) 長寿沖縄を探るレンズ のタイトルでフランス人カメラマンの取材模様の記事が社会面にのりました。
 2 翼の王国 ANAの機内誌5月号に見開き全面の写真入りの記事 あじさい園をバックに母が紹介されています。

 
去年(16年)のコメント
 来年にはいよいよ100歳の大台のりますが、この年になってもコツコツ元気にあじさいの手入れを欠かしません。子供たちや周辺から無理はしないようにと注意されても、「あんし 草んうちかんしーねー、 ちむわさわさーひち、やーんかい とぅるばとーかりーんな」(あのようにあじさいが雑草に覆われているのをみると、心が落ち着かずボケっと家で休んでいられるか)と言い返します。あじさいへの想いと使命感でもって、つい無理をしてしまうのが心配ではありますが、至って元気な現役園長です。たまに膝に水がたまって痛がり、病院に行くことはありますが、口は達者で、うるさいほど良く指示を飛ばし、チェックを入れます。記憶力はビックリするほど。電話番号は子供達はもとより親戚、友人たちのを全て暗記。人も良く覚えて会話を楽しんでいます。耳は多少感度は落ち気味ながら、日常の会話には全く支障はありません。何よりもビックリするやら呆れるのは、自分の年齢に対する自覚が足りないことです。自分より明らかに若い方に「あの年より」「おじさん」と言ってみたり、挙句の果ては、息子である私(67歳)の頭をさして、「いやーがむんや うひなーや くるーん まんちょーぐとぅ しむしが 我がむんや むるまっしーらーどぅえる」(君の頭は少し黒いのが混ざっているから良いが、私のは真っ白だよ)とのこと。我が母ながら呆れかえり、「私はあなたの息子レスよ。息子と張り合ってどうする。」と言い返しました。我が姉は「お客さんにはオッカーより、年よりもおじさんも殆どいないから」と自覚を促していました。
 このような気持ちの持ちようが若さの秘訣かもしれませんね。、今年も多くの来園の皆さんとの会話を楽しんでいます。
 母の自慢は、孫やひ孫の人数、活躍です。聞かれなくても、自ら「孫23人、ひ孫は1人増え43人、子供、孫の配偶者を合わせた家族の合計は念願の百人になったよー。」と、よどみなく、誇らしげに話します。毎日幾度となく聞かれる年齢には内心「又なー!」という感じですが、孫、ひ孫のことは何度聞かれてもうれしそうにこたえています。
 ウトの元気の秘訣は、このような家族に囲まれ、また多くの来園者の皆さんに激励をいただいていることも大きな一つだと思います。
 今年も、宜しくお願いします。

 ありがたい支援者の皆さん!
 母には、たくさん応援してくださる方がおります。その中に、大宜味村の平良さんご夫婦(写真)がおられます。昨年は「オジーが運転ができなくなったらこれないので」と、何度も訪ねてくださいました。しかもその都度沢山の手作り野菜やサーターアンダキーなどをご持参してです。
 平良さんご夫婦は、辺野古の新基地建設反対の戦いや国頭の米軍ヘルパッド建設阻止の戦いにも賛同し、よく激励行動をされているとのこと。ご夫婦は、ほほえましいほど仲が良く、素敵です。本当にありがとうございます。いつまでも元気でいてください。
 本部町の高良町長も、良く訪ねて母を激励してくださいます。感謝申し上げます

 
 久米の桜の植樹
 去る3月19日に伊豆味農村公園駐車場の周りの久米の桜並木の一角に、区長さんや役員の皆さんのご協力を得て記念植樹をしました。

米軍ヘルパッド建設阻止の戦い現場にも出かけ

 
母ウト 中東のTVが取材!動画ユーチューブリンク
 一昨年(2013年)3月に、中東のTVが、ウトの健康長寿の要因を求め取材に訪れました。かの中東のマスコミ界では超有名なディレクター、名前はアハマドエルシュケリ
さん。通訳を介して健康長寿の要因と考えられる質問をしたり、母のパパイヤチャンプルーを食べたりと盛り上がっていました。母とは意気投合し「自国へ招待したい」と言わしめるほど気に入られていました。同行のスタッフは「彼がこれほど感情を表に出し、喜んでいるのを見たことがない」というほどでした。
 後日談。たまたま、NHKの衛星放送を見ていたら、偶然かの有名なインタビュアーが話題に取り上げられていました。
 その動画がユーチューブで公開され、75万回余のアクセスがなされています。動画は最初の2分間ほどは前置きですからスキップし再生した方が良いです。途中アメリカの長寿者と交互に複数回の出番がございます。残念ながらアラビア語で理解はできませんが、複数の国の長寿者を紹介しているが全体を観ても母ウトがメインのようです。
 
 2013年3月17日


 オーナー・ウトオバー
    沖縄タイムス地域貢献賞受賞

 2010年10月にオーナーのウトオバーが沖縄タイムスの「地域貢献賞」を受賞する栄誉にあずかりました。タイムス社の第3回目になる地域貢献賞として、全県から個人2人、3団体が選ばれましたが、個人の1人がウトオバーでした。大変ありがたい賞ですが、タイムス社としてこの賞を設けるきっかけになったエピソードが又うれしいです。
タイムスの豊平社長が語って下さいました。豊平社長を始め新役員が就任のあいさつに本部町を訪ねた時、高良町長がウトオバーを例に挙げ、「町内には高齢でも元気に街づくりに貢献している人が沢山いらっしゃる。こういう人たちを(マスコミは)取り上げてほしい。」と話したそうです。この話が発端となって新役員体制発足記念に何かを、と思案中であった社長にとって、良いヒントとなり、新事業のひとつとして始めようと決断されたそうです。ホントにありがたい話であり、我がは母ながら誇りを感じます。当日は、高良町長、末吉副町長、田仲観光協会長をはじめ、地域、親戚、友人等多くの方が受賞会場まで激励に駆け付けてくださいました。中には、ウトの尋常小学校の同級生で、それ以来初めてという方も。新聞を見て「あのウトゥー小では!」と激励に来られたました。お互い今年満94歳同士。娘さんの車で来られたが、2人ともすぐ思い出し、80数年ぶりの感動の再会に涙し語り合っていました。因みに、その方は上地さんという方です。本当にありがとうございました。可能でしたら是非あじさい園まで足を運んでいただけたらと願っています。


 2010年10月16日 浦添市てだこホール

**ウトは本部町功労賞も



ウトが月刊誌でグレート・
      マザーとして紹介される
 

 下の画像は東京で発行されている月刊誌「ソトコト」の記事です。
 那覇の出版社「Karakala」の池端さんからグレートマザーの1人として取材をしたいと申し込まれ、特別に考えもせず気軽に応じたわけです。
 発刊された6月号の雑誌を送って下さったので、まずはお袋のページをめくって、インタビューアーで執筆者の黒川由紀子先生の素敵な文章に「随分誉めて下さって、えらい事だ」と恐縮していたところです。ところが、前後のページや、全体のテーマを見てびっくり仰天!。3番目の写真の「85」も?、年齢は90歳なんだが?ぐらいに疑問に思っていたのですが、それがなんと特集タイトルの「世界のエコセレブ101+」の中のグレートマザーの1人として85番目に紹介されているではありませんか。しかも、紹介されている皆さんは、オノヨーコさんや「モッタイナイ」で有名なマータイさん、キャメロンディアス等超超有名人。「これはドエライことになった。恐れ多くもこのような皆さんと一緒に並べるなんて!、幾らなんでも「過大」100乗くらいの評価です」と叫んでしまいました。超ビックリ、恐縮の至りですが、行動の持続・継続性なども1つの評価基準かなと思われますし「人様の中には、このように見て下さる方もいらっしゃるんだ」と受け止めるように努力しようと考えています。
 黒川先生を始め、ソトコトのスタッフの皆さん誠にありがとうございました。

 月間誌「ソトコト」800円 
 〒104-0045 東京都中央区築地7-12-7 築地FTSビル5F  
 HP http://www.sotokoto.net/
  ソトコトとは、アフリカのバンツー語で、「木の下」という意味だそうです。 [「木の下」は「スロー」なり。「スロー」になれば世界が違って見えるかも!?『ソトコト』は人を「スロー」にさせる雑誌を目指しています。]とのことです。

 
黒川由紀子先生

 とても素敵な先生でした。さすが心理学の先生で、母ウトはインタビューの当初から完全にのせられていました。写真はのせられた表情です。

  参考リンク
東京都生まれ。東京大学教育学部教育心理学科卒業。保健学博士(東京大学)。お茶の水女子大学学生相談室、東大医学部精神医学教室などを経て、現在は慶成会老年学研究所所長、大正大学大学院教授。
 あじさい園のオーナー
   
よへなウト(T6年生)
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ウッチンのカバーおばーに
このリーフレットは京都のデパートで番家さんが見つけ送って下さったもの。
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